煉香は漢方薬の調合経験や書籍などを参考に作っていたのですが、京都にある老舗山田松香木店にて煉香作りが体験できると知り、正しい作り方を習ってきました。
香(こう)の歴史
香の歴史は、聖徳太子が摂政になっていた頃、淡路島に香木が漂着したと『日本書紀』に伝えられているのが最初のようです。
その百年後、唐より来朝した鑑真和上が律宗とともに薫物(香を配合した練香)を伝えました。この香料の使い方を学んだ貴族たちは、仏のための供香だけでなく居住空間で楽しむ「空薫物(そらだきもの)」を生み出しました。
平安時代に入り、配合した香を持ち寄り、比べて優劣を競う「薫物合(たきものあわせ)」が宮中で流行します。このなかで、「六種の薫物(むくさのたきもの)」と呼ばれる六種の基本レシピが定着しました。
梅花(ばいか):梅の花のような香り
荷葉(かよう):蓮の花を思わせるような香り
落葉(おちば):ものの憐れさを思わせる香り
菊花(きっか):菊の花のような香り
黒方(くろほう):葉の散る哀れさを思わせる香り
侍従(じじゅう):深く懐かしい、落ち着いた香り
参考文献:『香りが語る日本文化史 香千載(こうせんざい)』
煉香(ねりこう)とは
このように粉末にした香木をレシピに従い配合し、蜜などで煉りかためた黒い丸薬のようなお香を煉香といいます。
線香のように直接火をつけるのではなく、炭をおこして間接的にあたためる「空薫き」によって香りをたたせます。
煉香作り体験
それぞれの席にすでに粉末状にしてある香料が置いてあるのですが、香木の見本を見せていただきながら香料について説明していただきました。
今回使う香料は、沈香(じんこう)、白檀(びゃくだん)、龍脳(りゅうのう)、丁子(ちょうじ)、甘松(かんしょ)、安息香(あんそくこう)、薫陸(くんろく)、貝甲香(かいこうこう)、麝香(じゃこう)です。
この香料を基本の割合で計り入れます。
ここでいったん香りをかいで、あとは自分の好みの香料を追加していきます。沈香と白檀どちらかを多めにすると印象が変わるとのこと。沈香を少し多めにし、そののちに甘松も追加しました。
配合が決まったら、秘伝のタレ(笑)と竹炭末を入れて煉り合わせます。
できあがったら、これくらいの大きさにまるめます。乾燥すると焚いたときにこげくさくなるので、乾燥しないように保存します。乾燥した時は表面を軽く水でぬらしてから焚くと良いそうです。
およそ50分程度の時間でしたが、配合を考え調合する作業は職業柄か熱中してしまいました。
香料は精油成分を含んでいるものが多いので、精油(エッセンシャルオイル)と共通するものあります。
沈香・・・ローズウッド
白檀・・・サンダルウッド
丁子・・・クローブ
安息香・・・ベンゾイン
などです。
著作権などの問題で、詳しくお伝えすることができない部分もあり、ざっとしたレポートになってしまいました。
今後、アリスマーナのBarra Dell’Aroma(香りのバール)のイベントで、煉香作りを開催予定です。
季節を感じる日本の香りを一緒に楽しんで行きましょう♪
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